2014年3月22日土曜日

自作フェアリールール「肩車」

※2014/2/20に発行された「Web Fairy Paradise」第68号に掲載していただいた、自筆の記事を掲載します。

1.序文
 本記事の主旨は自作フェアリールール「肩車」の説明です。肩車の内容を一言で説明すると「味方の駒の上に移動できる」となります。この一文が肩車の骨子であり、他の細則はこの一文を成立させるための補助的なものです。生まれて間もないルールであり、定義が曖昧な部分があるかもしれませんが、できるだけ分り易く書きますので、ご一読くだされば幸いです。

※以下、任意の地点に攻め方、玉方問わず二枚以上の駒が重なり合っている状態のことを「状態x」と表記します。
※本記事の本文中や棋譜上では、説明を明快にするために状態xを「()」で表記します。状態xの一番上の駒と下に重なっている駒の持ち主が同じ場合は特別な記号は付けず、例②の△とのように、状態xの一番上の駒と下に重なっている駒の持ち主が違う場合だけ「▲:先手」や「△:後手」で駒の持ち主を表記します。
例①、23の地点に上から順に、攻め方角、攻め方金の2枚の駒が存在する場合。
23角(金)
例②、11の地点に上から順に、攻め方飛、玉方と、攻め方銀の3枚の駒が存在する場合。
11飛(△と,銀)
※特に断りが無い場合、初形に状態xは存在しません。
※初形に状態xが存在する場合は、棋譜表記で注釈を付けます。

2.ルール説明
「肩車」
・味方の駒の上に移動できる。
・同一地点へ駒を重ねる枚数の上限は無し。
・上に駒が乗ると、下の駒の利きは無くなり動けなくなる。
・王や玉の上に味方の駒が乗る手は非合法。
・状態xの敵駒を取った場合、取れる駒は一番上に乗っている駒のみ。よって、結果的に敵味方の駒が入り乱れて重なり合う場合もある。
・味方の駒の上への駒打ちは合法だが、敵駒の上への駒打ちは非合法。
・状態xの一番上に乗っている駒が動く時、動けるのは一番上に乗っている駒のみで、残りの駒は状態xが元々存在していた地点に取り残される。一番上に乗っている駒の移動後、新に状態xの一番上になった駒は利きが復活する。
・飛角香が味方の駒を間に挟んでその先へ移動する手は非合法。
・状態xに味方の歩が一枚でも含まれている場合、その状態xと同じ筋に歩を打つ手は二歩禁にあたりますので、非合法です。

3.例題
1番 肩車協力詰3手



2番 肩車協力詰3手
※14香(馬)
3番 肩車協力詰3手

4.解答と解説

1番
34金 13玉(金) 24金まで3手
24歩 13玉(金) 23金は14玉(歩)で逃れ。
24歩 13玉(金) 24金(歩)は同玉(▲歩)で逃れ。
 初手は限定打です。また、12地点には先手王が利いているため後手玉は移動不可能。13金の上に玉が移動し金の利きを無くす、肩車特有の手筋です。初手34金に対し△23金(玉)と玉を守る手は非合法です。

2番
14歩(△馬) 12玉 13香まで3手
 初手14歩で取れる駒は香のみで、馬は14の地点に残るが、馬の上に先手の歩が乗っているので、馬の利きは無効化され逆王手も掛かりません。よって、13香が可能になります。ルール上は味方の駒の上に駒を打つ手も合法ですが、3手目14香(歩、△馬)と打つと13地点に合駒が可能になるため、本問では13香が限定になります。また、15香以遠では、間に味方の歩を挟んでいるので王手になりません。

3番
23金(角) 31玉(金) 32金まで3手
 初手は角が動くと詰まないので、金で王手をしたい所ですが、23以外から金を打つと3手目に困ります。よって、角の上に23金(角)と重ねて打つのが好手。31玉(金)を実現できます。最終手は32金の頭金までですが、32金とした時に攻め方23角の利きが復活し詰め上がるという仕掛けです。3手目32金で、23の地点にいる角は金と一緒に動くということは無く、23の地点に留まります。

5.おわりに
 駄文ではありますが、最後まで本記事を読んでくださった方へ、感謝申し上げます。
 余談ですが、将棋の駒というものは完全な平面ではなく少しだけ傾斜がついています。肩車作品を実際に盤の上に並べてみると、駒が重なっていくに連れ傾斜も急になり、一定の枚数以上重なると駒が崩れてしまいます。これには困りました。

筆者:時風瑞季
出典:Web Fairy Paradise 第68号

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